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米中首脳会談

 トランプ米大統領が2017年1月に就任して以降、中国の習近平国家主席との直接会談はこれまで3回行われた。17年4月、米フロリダ州で初会談。7月には20カ国・地域(G20)首脳会合の開催地、ドイツ北部ハンブルクで、11月にはトランプ氏が就任後初めて北京を訪れた際に実施した。トランプ政権は台頭する中国への警戒を強め、12月に発表した国家安全保障戦略で「米国への挑戦者」と位置付けた。通商問題で急激に悪化した両国の対立は軍事面にも波及。今年はまだ会談していない。

2018年11月26日更新

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 米国と中国の対立が深刻さを増している。貿易摩擦にとどまらず、技術開発や安全保障、人権問題にも拡大。超大国・米国と、台頭する中国による覇権争いの様相を呈している。今月末にも、トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は首脳会談を予定するが、対立解消の糸口を見いだせるかは見通せず、米中の「新冷戦」が世界にかつてない不確実性をもたらす危険もはらむ。 (ワシントン田中伸幸、北京・川原田健雄)

 「中国が態度を改めるまで米国は行動を変えない」。18日までパプアニューギニアで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議。ペンス米副大統領は知的財産権や南シナ海、人権など中国の問題点を列挙し改善を求めた。

 中国政府は「他国のことを言う前に、自国の人種差別問題を何とかしたらどうか」と反発。習氏も関連会合で「壁を造って他国とつながりを断つのは歴史の流れに反している」と述べ、トランプ氏の政治手法を批判した。米中対立が先鋭化した結果、APECは首脳宣言さえ出せない異例の事態に陥った。

 昨秋2期目に入った習指導部は対米関係を重視。トランプ氏が北京を訪れた昨年11月には世界遺産の故宮を貸し切って歓待した。総額約2500億ドル(約28兆円)に上る大型商談も用意しトランプ氏を喜ばせた。

 しかし、今年に入ると状況は一変。トランプ氏は知的財産権の侵害を理由に中国製品に高関税を課す制裁措置を次々と発動した。米国と台湾の高官往来を認める法律も成立させた。南シナ海では9月、米軍艦が「航行の自由」作戦を実施した際、中国軍艦が異常接近する事態も起きた。

 対立が決定的となったのは10月初め。ペンス氏がワシントンで講演し、中国による知的財産権の盗用や西太平洋への軍事的野心、新疆ウイグル自治区での人権侵害など40分にわたって厳しい中国批判を展開。気まぐれなトランプ氏に加え、最側近であるペンス氏の発言に「米国が本気で中国を抑え込もうとしている」との見方が米中関係者の間で広がった。

   ◇    ◇

 対立の根底にあるのが米国の危機感だ。米議会の超党派諮問機関は今月、中国のハイテク技術が米国の安全保障上のリスクになるとする報告書をまとめた。次世代通信などの技術で中国が国際標準を握れば「中国政府が米国の情報を収集する権限を得ることになる」と警戒。中国の軍事力についても「2035年までにインド洋や太平洋の全域で米軍に対抗できる能力を備えるだろう」と懸念を示した。

 30日にアルゼンチンで開幕する20カ国・地域(G20)首脳会合に合わせて予定される米中首脳会談は貿易摩擦が激化して以降、初のトップ会談となる。両首脳が対立にどう折り合いを付けるかが最大の焦点だ。

 会談に先立ち、中国側は貿易摩擦を巡る142項目の是正策を米側に提示。知的財産権の保護強化や関税引き下げなどを示したとみられる。トランプ氏は「かなり整ったリストだ」と評価する一方、四つか五つの大きな論点が残っているとも指摘。「まだ受け入れられない」と述べた。

 中国は景気減速の懸念が強まる中、一定の譲歩を示して追加関税の拡大を避ける狙いだが、製造業を発展させる長期的な計画「中国製造2025」の撤廃は拒否したとみられる。中国は「対米交渉で中国の発展は犠牲にしない」と繰り返しており、次世代情報技術やロボット、電気自動車(EV)など技術の覇権争いで譲る気配はない。

 トランプ政権は中間選挙で与党が下院で過半数を失い、年明けからの新議会での予算編成や重要法案審議は難航が予想される。大統領が大きな権限を持つ外交や通商政策に活路を求め、より強硬な対中姿勢を取ることも考えられる。

 米国では主要閣僚の入れ替えに伴い、中国との対話の必要性を訴えてきたマティス国防長官の退任説がささやかれる。「歯止め役」を失うことで関係悪化が加速する事態も懸念される。

=2018/11/26付 西日本新聞朝刊=

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