早期発見、早期治療で生活の質を保つ  見過ごされがちな頭頸部がん

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監修:国立病院機構九州医療センター 中島寅彦頭頸部腫瘍センター長

 頭頸部がんは、首=頸部(けいぶ)から頭部までのうち、目と脳を除く部位に生じる腫瘍です。口腔(こうくう)がんや喉頭(こうとう)がん、咽頭(いんとう)がんなどがありますが、健康診断や人間ドックの検査項目にないうえ、初期段階では自覚症状に乏しいために、見過ごされがちです。頭頸部には、「呼吸する」「飲み込む」「話す」「聞く」「味わう」「匂う」「体のバランスを取る」といった感覚をつかさどる器官が集まっています。そのために、発見の遅れやがんの進行状況とその手術によっては、術後の日常生活に支障をきたすなど、QOL(Quality of Life : 生活の質)を著しく損なうリスクが高まることがあります。

 どのような自覚症状があるか、症状が出たときにはどうすればよいか、予防のために日常生活の中で心がけることなどを紹介します。

■取材協力/九州医療センター中島寅彦(なかしま・とらひこ)統括診療部長、頭頸部腫瘍センター長。専門は、耳鼻咽喉科、頭頸部外科
略歴/1988年長崎大学医学部卒業、九州大学附属病院研修医。1998年米国テキサス大学 MD Anderson Cancer Center留学、2000年九州大学病院耳鼻咽喉科助手、2012年九州大学医学研究院耳鼻咽喉科准教授、2016年から現職(耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍センター)

頭頸部がんの罹患数は近年増加

 頭頸部がんは全がん総数の約5%を占め、年間1万5000人~2万人が罹患し(甲状腺がんを除く)、近年罹患数が増加しています※1。腫瘍が生じる部位によって自覚症状は「声のかすれ」、「口の中がしみる」、「飲み込みづらい」などさまざまです。がん特有の症状に乏しいことから、風邪や口内炎と思い込み、見過ごされることも少なくありません。専門科以外を受診して偶然発見されたり、がんの進行により首のリンパ節転移で判明したりする他、呼吸困難になって受診するケースもあります。

 頭頸部がんを男女別にみると4:1で男性に多くみられます※2。中でも最も多いのは口腔がん(うち約半数が舌がん)、次いで下咽頭がん、喉頭がんで、男性は50歳後半から、女性は60代から死亡率が増えています※3。

頭頸部がんができる主な部位(出典:一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 頭頸部外科情報サイト※4)

頭頸部がんの部位と発生割合(出典:一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 頭頸部外科情報サイト※5)

HPV感染が原因の中咽頭がんが増加

 国内で毎年数千人が発症する中咽頭がんでは、近年、ヒトパピローマウイルス(HPV)による感染が原因で発症するケースもみられます※6。国立病院機構九州医療センターでも、最近は中咽頭がんの患者さんのうちヒトパピローマウイルスが原因で発症したケースが約7割を占め、30~40代の患者さんもみられます。HPVワクチンは、男女ともに接種可能で、HPVへの感染を予防するだけでなく中咽頭がんの発症を予防する効果が期待されています。

症状が2週間以上続いたら 耳鼻咽喉科専門医へ受診を

がんの種類と主な症状(出典:一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 頭頸部外科情報サイト※7)

 日常生活にあまり支障がなくても、気になる症状が2~3週間続いたら、耳鼻咽喉科専門医を受診しましょう。物が二重に見える、顔面神経麻痺などの症状に気が付いた場合には、速やかに受診することをお勧めします。治療法は、発症部位や患者さんの症状、がんを治すための根治性とQOLとのバランスを考慮し、手術や放射線治療、薬物療法を組み合わせた集学的治療が行われます。

舌がんの所見 (提供:九州医療センター、同意を得て掲載)

日常生活で気を付けたいポイント

 では、日常生活ではどのような点に気を付ければよいでしょうか。

■禁煙と節酒

 頭頸部がんに限らず、がんの二大リスクは喫煙と飲酒です。禁煙と節酒(1日1合程度)など生活習慣を見直すことは大切です。

■歯並びが悪い、不適合な義歯に注意

 口腔がんの中で最も多い舌がん。歯や不適合な義歯が、舌の側縁にあたってこすれる慢性刺激が因子となることもあります。歯並びが悪い場合は、矯正するのも対策の一つです。

■口の中を清潔に保つ

 口の中の環境が悪いと、免疫力の低下につながります。歯磨きなどで口腔内や咽頭を清潔に保つことを心掛けましょう。

■定期的な上部消化器官の内視鏡検査を

 食道や胃、十二指腸の粘膜を観察する上部消化管内視鏡では、咽頭や喉頭の観察もできることもあり早期発見につながることがあります。飲酒や喫煙の習慣のある方には1年に1回の定期的な上部消化管内視鏡による検査をお勧めしています。

鼻咽腔ファイバー検査の様子(提供:九州医療センター)

頸部エコーの様子(提供:九州医療センター)

【出典】
※1 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 頭頸部外科情報サイト 頭頸部がんの部位別罹患数年次推移
※2 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 頭頸部外科情報サイト 頭頸部がん全体の男女の比率
※3 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 頭頸部外科情報サイト 年齢階級別死亡率 口腔がん・咽頭がん
※4 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 頭頸部外科情報サイト 頭頸部がんができる主な部位
※5 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 頭頸部外科情報サイト 頭頸部がんの種類別の割合
※6 国立がん研究センターがん情報サービス 中咽頭がんについて
※7 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 頭頸部外科情報サイト 頭頸部がんの種類と主な症状