「混ぜる」教育から「解を出す」教育へ― 新学部を開設した、立命館アジア太平洋大学(APU)
出口治明学長インタビュー
外国人留学生が学生の半数を占め、国際的な学びを提供する大分県別府市の「立命館アジア太平洋大学(APU)」が4月、観光とサステイナビリティ(持続可能性)を学ぶ日本初の「サステイナビリティ観光学部」を開設した。2000年の開学以来、新学部設置は初めてで、同大は「第2の開学」と位置づけている。
同大学の出口治明学長に、新たな学部開設の意義と思いをうかがった。

立命館アジア太平洋大学 出口治明学長
1948年三重県⽣まれ。72年京都⼤学卒業、同年⽇本⽣命に⼊社、2006年退職。2008年ライフネット⽣命を開業。12年上場。社⻑・会⻑を10年務める。18年より現職。
持続可能な社会実現のために行動できる人材を
─なぜ今、新学部を設置されたのでしょうか。
コロナ禍でグローバリゼーションが一時中断したものの、この流れは止まりません。人も経済も国境を越えて動き始めています。世界の人口は2030年に85億人、50年には97億人になると予測されています。そんな中で「持続可能な社会を実現するために行動できる人」を育てることが大事だと考えました。
グローバル化が進み、国境を越えたつながりが強くなる一方で、資源の枯渇、環境汚染、気候変動といった環境問題や、グローバリゼーションによる地域文化の消滅、格差社会など地球規模の問題は深刻化しています。これらの課題を解決したいという使命感から新学部は生まれました。
─具体的には、どんな教育をするのでしょうか。
理論と実践の両輪からアプローチします。教室で学び、実際の現場でそれを使うことで、卒業する時には、自分で考えて行動できる実践力ある人を育てます。
また、持続可能な社会に必要な環境・社会・経済・文化を複合的に学ぶことができるというユニークで先進的なスタイルも特徴です。環境学や国際開発、地域づくり、観光学など九つの専門科目を設置。学生はキャリア設計に基づいて、自分でカスタマイズしながら学びを作っていくのです。
どんな人になりたいか、どのように社会に貢献したいか、1回生から自分で考えてもらいます。大学での学びを自分で決めていくことで、一生学び続けるスキルが身につくと思います。
「世界一の国際的な大学」への発展を目指して
─APUは「世界を変える人材の育成」を掲げていますね。
世界を変える人材とは、以下のような特性のある人だと考えています。
①他者と協働し、対話を軸に対立を乗り越え、社会に影響を与えることができる
②異なる文化との衝突や遭遇したことのない困難への耐性がある
③多様な視点やアイデアから新しい価値を創造することができる
④自分自身のゴールを描き、生涯学び成長し続けることができる
開学以来培ってきた「日本有数の国際的な大学」という評価を、30年には「世界の中で最も国際的な大学」へと発展させたい。APUで学んだ人が世界をよりよく変えるための中心になってほしいですね。
自分の好きなことや得意なことを生かし、国際通用性のある人を育てる教育をしなくてはならないと思っています。
─キャンパスはどう変わりますか。
さまざまなスタイルの教室が並ぶ「グリーンコモンズ(新教学棟)」と、敷地内の国際教育寮「APハウス5」ができます。
新教学棟の中心部分の「グリーンコモンズステージ」は、国内の教育施設で最大級の木造建築です。カーボンニュートラル社会を目指し、その9割は二酸化炭素の排出量削減に配慮した大分県産スギを使用しています。カフェを併設し、飲食をしながら勉強や交流ができ、イノベーションが生まれると信じています。地域交流スペースなども設けます。
三つの学部で持続可能な社会づくりに挑戦し続ける
─今後の展望を聞かせてください。
年齢や国籍、文化が違う多様な人が混ざり合い、対話し、連帯し、協力することで社会は発展します。若者が実践できる人へと育ち、国内外で持続可能な社会を作ってほしい。そのためにもAPUは、サステイナビリティ観光学部、アジア太平洋学部、国際経営学部の3本柱で、常に新しいことに挑戦していきます。大きな責務が伴いますが、ワクワクしています。
【立命館アジア太平洋大学(APU)】
102の国と地域出身の外国人留学生が学生の半数を占め、「THE 日本大学ランキング2023」では、「国際性」全国1位、「教育充実度」全国3位、西日本の私大で6年連続1位の評価を受けている大分県別府市にある大学。多文化多国籍環境のもとで、協働学習や日英2言語での教育を提供し、グローバル教育を牽引している。2023年4月、「第2の開学」として開学以来初めての、理論と実践の両輪で学び持続可能な社会の実現に貢献する人材育成を目指す「サステイナビリティ観光学部」を新設した。
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