【リポート】経営セミナー「確定拠出年金(企業型DC)の活用について考える」
西日本新聞社が主催する経営セミナー「確定拠出年金(企業型DC)の活用について考える」が2月14日、福岡市中央区の大名カンファレンスで開催された。第1部はファイナンシャルプランニンググループのDCコンサルタント荻原唯人氏がDC導入の現状やメリットについて講演。第2部は資産運用会社キャピタル・インターナショナルの依田俊也氏が資産形成の手法について講演した。会場には26社から経営者や人事・総務の担当者ら32人が参加し、熱心に聞き入っていた。講演の内容を紹介しよう。
第1部 演題「企業型確定拠出年金制度(DC)の導入で、経営者も社員もゆたかな未来!」
荻原唯人氏
[略歴]大学卒業後、大手証券会社に入社。顧客に寄り添ったライフプランニングと資産形成には米国401k制度(企業型DC)が重要なツールと考え、中小企業向けにDC導入コンサルティングを行うため独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)として起業。現在、月5~10社のDC導入コンサルティングに携わる。社会保険労務士の資格を有する
企業型DCは会社の体力に合わせて柔軟な制度設計が可能
企業型DCとは2001年に始まった制度で、会社が掛け金を出して積み立て、加入者である従業員が自己責任で積み立てた資金を運用する企業年金。従業員は定年を迎える60歳以降に一時金、または年金として受け取る。掛け金と運用益が非課税。受け取りの際にも税制面での優遇措置がある。
加入状況を2年前に調べたところ、全国の厚生年金適用事業所の1.75%が加入していた。2年の間に少し増えたとして、現在2%ほどだろうか。伸びてはいるもののまだまだ少ないのは、中小企業の加入が少ないから。企業型DCの掛け金上限5万5000円を出すのは会社で、規模が小さい会社だと全従業員に毎月一律の掛け金を出すのが難しい。中小企業からは「負担に耐えられる大企業のための制度」と思われていた。しかしこれは思い込み、思い違いだ。掛け金は会社の体力に合わせて設定できる。会社が出す掛け金以上に積み立てたい場合、従業員は上限との差額を自身の給与から出すことが可能。イメージと違って会社の負担になるような制度ではない。
私たちが提供する企業型DCプラン「ゆたかな未来」は、会社が拠出する掛け金を1000円の最少月額に設定して始めることが可能。運用商品を厳選し、外国株式、国内株式、定期預金の3本に絞っている。導入へのサポートはもちろん、従業員説明会や投資勉強会など導入後のフォローも提供している。
優秀な人材を確保したい企業に欠かせないツール
企業型DCは大企業以外にも広がり始めている。現在、弊社では月に5~8社の導入をサポートしていて、従業員30人以下の会社が約8割。業種は断トツでIT系が占めているが、これは大企業から独立して起業した代表が多く、企業型DCのメリットを知っているから。なお、もし転職しても、転職先がDCを導入していれば資産を移して継続することができる。優秀な人材を採用したい企業にとって、求職者にアピールできる企業型DCはマストといえる。
町の小さなクリニックが導入する例も多い。企業型DCはいつでも運用状況を確認して利益を実感できるので「この医院に勤めているからこそ運用できている」と帰属意識が高まり辞める人が少なくなる。こういった人材のつなぎ止めの効果もある。DCは企業としてのステータスであり、優秀な人材を集めるために、うってつけといえる。
DCは若い制度だが、今後どんどん払い出しが始まる。すると、何もしていなかった人とDCを続けてきた人との年金格差が生まれてくる。従業員の皆さんが将来へ目を向け、自身の老後を見据えられるように。これは人を育てることであり、企業としての社会的意義ではないだろうか。
第2部 演題「Time, not timing 全世界株式ファンドでゆたかな人生を」
依田俊也氏
[略歴]資産運用会社キャピタル・グループの日本における投信ビジネス部門を統括。経験年数32年、在籍年数15年。1991年国内大手証券会社に入社。リテール営業を経験した後、外資系資産運用会社3社で投信営業および商品企画に従事。2008年キャピタル・インターナショナルに入社
資産づくりの鍵は成長資産への長期継続投資
投資で資産をつくるには、成長資産に長期継続投資するのがポイント。日本における企業型DCの運用商品の選択を見ると、約45%が「預金」や「保険」。元本は確保されるが大きく増えることは期待できない。一方、運用によっては大きな成果が出る「株式」は35%ほどしかない。資産形成のためには株式の割合を増やすべきだ。中でも国や地域を限定しない、全世界を対象にした株式への投資を考えたい。
なぜ全世界株式なのか。世界の名目GDP(国内総生産)と全世界株式インデックスの20年間の推移を見ると、株式は短期的な増減はあってもGDPの増加に伴い、結果としては右肩上がり。今後も世界の人口増加、所得水準の向上が予想されており、これに伴う経済成長が期待できる。だから全世界に投資することで取りこぼしがなくなると考えられる。
プロが厳選した全世界株式ファンドをDCに
全世界株式インデックスに長期投資した場合の投資成果を試算した。1973年に100万円を投資した場合、2022年には2576万円、約26倍になるという結果が出ている(MSCIワールド・インデックスを使用。2011年9月末以降はMSCI ACワールド・インデックスを使用。いずれも税引後配当再投資、円ベースのリターンを用いて算出)。
また同インデックスに1982年12月末から40年間毎月1万円ずつを積み立てると、終了時の評価額は2567万円。第1部で荻原さんが触れた企業型DCプラン「ゆたかな未来」の運用商品「キャピタル世界株式ファンド」が用いる運用戦略で積み立てた場合は40年間で4907万円という数字になった。1973年以降、世界では戦争や経済崩壊が起こってはいるものの、経済規模は拡大し、株価は時に暴落しながらも、長期的には上がっている。

投資とは、タイミングで売買を繰り返すものではなく、時間をかけて育てるもの。試算結果は過去のことだと思われるかもしれないが、私たち運用のプロは、この実績を将来にわたって再現できるという自信がある。その理由は企業を調査するリサーチ力、そしてチーム力。キャピタル・グループは450人もの運用担当者を全世界に配置し、「これは」という企業があれば必ず経営陣と面談し、本質をリサーチした上で投資している。また1人の運用手腕に頼らず、チーム制をとることで長期にわたる運用の継続性と再現性を実現している。
会社に企業型DCを導入し、従業員が長く持ち続けられるファンドに出会う機会をつくってほしい。キャピタル・グループは多くの人にDCを通じた株式投資で定年後の豊かな未来を築いていただきたいと考えている。
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