「子育て世代に優しい地域」 大分県日出町にUターン移住で実感
「大きく変わってほしいところはないけれど、ちょっとずつ変化を見せてくれる町。住んでいて面白いとは思いますね」。笑顔を見せるのは今年3月に長野県から故郷である日出町に移り住んだ阿部正寛さん(34)。大学進学を機に日出町を離れるが、子育てのためにUターンを決めた。「一度離れたからこそ実感している」という日出町の魅力について話を聞いた。

大学進学を機に日出町から長野県へ。就職・結婚もそちらでされたそうですね。 長野県ではどんなお仕事をされていたんでしょうか?
「未来工作ゼミ」という子ども向けの教室で、プログラミングや工作を教えていました。就職先を探していた時に、東京でゲーム会社をやっている社長が長野で新しく教育事業を立ち上げると知ったのがきっかけです。大学で学んでいた感性工学(人の心や体の反応をものづくりに生かす学問)も生かせそうな仕事内容だったので、ここに就職しました。この会社には10年、長野には15年いましたね。
長く長野県に住んでいたんですね。そこから日出町に戻ろうと思ったきっかけは何だったんでしょうか。
子どもが生まれたことですね(現在3歳)。妻は新潟県出身で、ともに実家が離れた場所で子育てをしていたんですが、共働きなのもあって大変でした。 親の手を借りてもっと子どもに寄り添いたいと思い、日出町へのUターンを提案しました。
これまでに奥様は日出町を訪れたことはあったんでしょうか。
長期休みの時などに何度か一緒に帰省していました。日出町に対しては、冬でも暖かくてのんびり過ごせそうというイメージを持っていたようです。長野では一年の半分ぐらいは雪が積もっているので、冬に雪かきをしなくてもいいというのは、プラスポイントだったと思います(笑)。

日出町での仕事や住居はどのように探されましたか?
たまたま日出町の役場で、情報処理員の募集があったので応募しました。自分の技術を生かせるような仕事を探していたんですが、求人が少ないので少し苦戦しましたね。 住居は、日出町に昔からある不動産店が僕の同級生の実家だったので、連絡を取り、協力してもらいました。今は賃貸住まいですが、将来は家を建てるなり、実家に戻るなりの判断をしたいと思っています。

子育てという視点において、日出町の良さはどんなところですか?
制度が充実していると感じます。未就学児までは医療費が全て無料なのは助かりますね。全国的に高齢者向けの施設が増えていく中、日出町は少し足を延ばせば子どもを預けたり親子で遊べる広場がいくつもあるので過ごしやすいです。

子どもと一緒に出かけられる場所も多いので、週末の余暇の選択肢が増えました。るるパーク(大分農業文化公園)に行ったり、夏は河川プールにも行ったりしています。 冬山の豪雪や険しい地形に晒されることなく、穏やかな気候と自然の中で子どもを遊ばせることができるというのは大分の魅力だと思います。
昔と変わらない故郷で子育てができるというのは、安心感がありそうですね。
どこに何があるのか地理がわかっているのもそうですし、ゴミ出しなどの生活ルールもわかっているので安心ですね。家族や友達が近くにいるので、何かあったら相談できるのも心強いです。町がコンパクトなので買い物や遊べる場所にすぐアクセスできて生活しやすいですね。
日出町の好きな食べ物を教えてください。
JA農協で売っている塩トマトをよく買います。海水を使って栽培されたトマトなんですけど、甘くておいしいんですよ。トマトが苦手なうちの子どももこれなら食べるんです。あとは「とん吉」というとんかつ屋さんのナスのはさみ揚げをよくテイクアウトします。絶品です。
久しぶりに日出町に戻ってきて、昔と比べて大きく変化したと感じた点はありましたか?
いい意味で、大きな変化は感じていないです。「この店移転したんだ」「新しくなったんだ」みたいな小さな変化はもちろんあるんですけど。日出町は、劇的な変化でなく、少しずつ変わっていっている町という印象です。自治体の合併も進んでいますが、戻ってくる時に「『速見郡日出町』のままで変わらずに立派にやってるじゃん!」と思ってうれしかったんです。
変わらないといえば、日出町は小学校が廃校にならずに残ってるんですよね。日出小学校、藤原小学校、川崎小学校とか。戻る前に町のことを調べていて驚きました。人の循環があって、若い人がちゃんとやって来ているんだなと思います。人の循環があって町の機能が維持されているので、子育て世代が引っ越してもうまくやっていける。そんな町ですね。
