福岡のニュースなら【西日本新聞me】株式会社西日本新聞社 公式Webサイト
福岡
1ヵ月間無料

岩田産業グループ、農村課題の解決へ本腰/アプリ「農How」で農業の担い手マッチング

PR
Sponsored by
岩田産業グループ
2024/9/13 16:002024/9/13 16:00 更新)

 SDGsを会社経営の中心に位置づける岩田産業グループ(本社・福岡市博多区)。食品・酒類の業務用卸などの事業を手がける傍ら、SDGsを実現する手段の一つとして、農家とクルー(働き手)をマッチングする携帯アプリ「農How」の普及を、福岡、佐賀両県で進めている。アプリを活用することで、耕作放棄地や担い手不足はどう変わりうるのか。農村地域における社会課題の解決を図ろうとする岩田章正社長と、その協力農家である福岡県朝倉市の日野勇樹さんら6人が、いま農業の現場が抱える問題や、模索している取り組み、これからの展望について語り合った。(文中敬称略)

【参加者】
岩田産業株式会社 代表取締役社長 岩田章正氏
岩田産業グループHDS執行役員 原口康紀氏
朝倉市商工会副会長・ゆう美果樹園 園主 日野勇樹氏
農Howアプリの登録クルー 和田真典氏
農Howアプリの登録クルー 合屋利恵氏
福岡県立朝倉光陽高等学校 校長 井上雅水氏

農業従事者を増やしたい

岩田産業グループが携帯マッチング・アプリの「農How」を導入した経緯と、農業を巡って課題だと思うことを教えてください。 

岩田 日本の食料自給率は39%を切る一方、昭和の頃に1千万戸あった農家が、令和では200万戸に減りました。しかも農家の平均年齢は70歳超と言われています。
 農業従事者、就農者を増やし、自給率を上げなければ、将来私たちが外食、中食業界のお客さまに販売する商品がなくなるかもしれません。加えて日本が安定的に発展するために食料は自分たちの国で生産して自国を守る、そのお手伝いをしたいというのが根底にあります。

岩田産業株式会社 代表取締役社長  岩田章正氏

 岩田産業グループとしてアグリトリオ社が開発したマッチング・アプリ「農How」を導入したのは、地域で減っていく農家や高齢農家の方が収穫や繁忙期になった時、このアプリを通じて一般の生活者の方をマッチングし、農業を手伝ってもらう、まずはそんな人材派遣のようなことをやりたかったからです。

原口さんはグループの執行役員を務めつつ、アプリに登録する朝倉市の農家「ゆう美果樹園」に足を運び、柿栽培にも携わっています。その立場から農業の課題をどう考えますか。 

原口 耕作放棄地が問題ですね。農家が高齢化して放棄地が増えれば、そこに害虫が発生し周囲の農家に広がったり、イノシシなど野生動物の餌場になったりします。ごみなどの不法投棄にもつながります。

岩田産業グループHDS執行役員 原口康紀氏

日野さんはゆう美果樹園の経営者として、農業の課題をどう見ますか。 

日野 経営するゆう美果樹園は明治初期の創業で120年の歴史があります。私で4代目になりますが主に柿、ブドウ、キウイなどを栽培しています。
私は農業とは関係のない仕事をしていたのですが、園をやっていた義父が高齢となったため、後を継ぎました。課題はいろいろありますが、やはり感じるのが人材不足ですね、人が地域にいないことです。

朝倉市商工会副会長・ゆう美果樹園 園主 日野勇樹氏

原口 当社と日野さんとの出会いは2022年、朝倉市内で開かれた農家の人手不足解消のための提案会です。そこで「農How」アプリを活用して人手不足解消に取り組もうとする当社に、日野さんが声をかけてくれ、初年度から「農How」アプリの登録農家になっていただきました。

井上さんは食農科学科がある朝倉光陽高校に勤務しています。農業の人材についてどう考えますか。 

井上 本校は1学年に120名の生徒が在籍しており、食農科学科が2クラス、普通科が1クラスあります。食農科学科では、食品や生産に関する知識を学ぶことができます。しかし卒業後に農業を選択する生徒は2~3名にとどまっています。先生たちと話す中で、農家とは対照的に、会社勤めならば毎月安定した給与が得られ、休日も確保できるため、子どもに農業を勧める親が少ないという意見も聞かれます。

選べる多様な働き方

和田さん、合屋さんはこのアプリを使い、各農家でクルー(働き手)として働いた実績があります。 

和田 私は会社員として32年間勤め、早めの退職を選択しました。もともとトレイルランニングとか森林浴が好きで、里山みたいなところで生活するのが目標です。自然環境や裸足を活用して健康のセルフケアサポートを行う業務を個人事業主として立ち上げましたが、副業も持ちたくて、農業のアルバイトを探したところ、「農How」アプリに出会いました。
 たまたま開いたところ、須恵町でオーツ麦を栽培する農家の求人があり、うちから近いと思い応募しました。今は月7日間ぐらいの割合でアルバイトをしています。元々室内より外の仕事が好きで、昼頃に終わるため、生活のリズム的にもちょうど良いです。

農Howアプリの登録クルー 和田真典氏(左)と 合屋利恵氏(右)

合屋 私は知人から「昨日、農家のアルバイトに行った」と教えてもらったのがきっかけです。面白そうだなと思い、2年ぐらい前にアプリに登録しました。
 平日は会社員として働いているので、土日祝日の空き時間に合えば、という感じで利用しています。日野さんの「ゆう美果樹園」でもGW中に働いたことがあるし、他の農家にも行っています。頻度は年4~5回程度です。

季節を感じる大切さ

福岡、佐賀両県で普及を図るアプリですが、改めて特徴を教えてください。 

岩田 これまで人材を確保するに当たり、働き手は履歴書を準備し、雇用主は面接をしなければなりませんでした。このアプリでは両者の作業がなくなり、農家の皆さんは時間を有効活用することができます。
 また農作業を終えた後、クルー、農家はそれぞれアプリを利用して評価し合います。クルーは次回も仕事に呼んでほしければ懸命に働くでしょうし、農家も再び雇いたいと考えればクルーを高く評価し、更に分かりやすく農作業を教えてあげることでクルーから高く評価され、好循環になるでしょう。

クルーとしてはどういうメリットを感じますか。 

和田 働く方も履歴書を出す必要がないのは助かります。給料支払いは現金払いか、ネット決済のどちらかを選択する仕組みです。私はネット決済ですが、決められた口座に月締めで振り込まれるところまでアプリで分かるため、良いシステムだと思います。

合屋 自分のスケジュールに合わせて農作業できるのでお小遣い稼ぎになるし、普段、事務の仕事をする私にとって、全く違う体験ができるのが良いですね。今まで手伝ったのはブドウやイチゴ、イチジク、大麦などの収穫です。体を動かしてリフレッシュしたり、作業に没頭して「無」になったりする心境は心地よいです。収穫する農産物によって季節を感じられます。

原口 農家さんがアルバイトを探したり、採用したりする手間が省ける一方で、クルーの方が豊かな自然の中で、季節を感じて働いてもらえるのは私もすごくうれしいです。
 それと、栽培のお手伝いをすることで自分たちが食べる農産物が、どんな工程を経て育つのか、学ぶことができます。また、普段はスーパーに並んでいる農産物しか見ませんが、農家の方の栽培の苦労を知ることもできます。

農家から見たアプリのメリットは何ですか。 

日野 働き手の確保です。農業をやっていると、繁忙期と閑散期が入り混じりますが、どうしても繁忙期は人手が不可欠な作業が多くあります。私の持論ですが、今後100年間、例えば医療の分野でロボットや人工知能(AI)の開発が進んでも、農作業は取って代われない分野だと思っています。農業は作業工程が多すぎて、AIなどではなかなか解決できないので、人手が必要です。

原口 アプリでは、作業内容を事前に動画や画像で確認できるためクルーも安心して現場に行けます。また、農家からしたら習熟度が早いと感じるでしょう。

率先して示す本気度

岩田産業が日野さんと一緒に柿を栽培している理由は何でしょう。 

岩田 このアプリは二つの機能があります。一つは、ご説明したように農家と生活者の方をつなぐ機能です。もう一つは、農家と企業をつなぐ機能です。企業が農業に参入する流れをつくるため、まず手始めに私たち岩田産業が率先してゆう美果樹園で農作業を実践し、基礎データを蓄積しています。これとは別に「博多ヨーロッパ野菜研究会」とも基礎データを蓄積しており、他の企業が一緒に参加できる事例をつくっていくためです。また、同時にその企業の社員さんが個人的に興味を持ち「農How」アプリに登録をする流れをつくろうとも考えています。
 岩田産業では、年に2日間を社員が農業に従事する「SDGsの実践、農業の日」としています。ある人からは「徴兵制ならぬ徴農制ですよね」と冗談交じりに言われますが、それぐらい本気で取り組まなければ状況は変わらないと考えています。
 将来、日本から食料がなくなるような事態は避けなければなりません。だったらまず自分たちが会社を挙げて農業に参加することで、同じ問題意識を持つ企業が1社でも多く賛同してくれれば、日本の農業を変えることにつながるのではないかと思います。

草刈りをする岩田産業 岩田章正社長

栽培はどんな作業なのですか。

原口 園内の約20㌃を借りて、当社の社員が「富有柿」の栽培を行っています。42本ある柿の木は長い歴史があり、天皇陛下にも献上された朝倉市志波地区の名産品です。 栽培は日野さんの指導の下、雪が畑に残る1月に始まりました。最初の作業は粗皮削りといって、高圧洗浄機の水を用いて樹皮を削るものです。洗浄とともに、皮の中で越冬する害虫を駆除する目的です。そして、剪定を行い枝を整えます。
 4月中旬頃から小さなつぼみが付きますが、今度はそれを間引く摘蕾(てきらい)に移ります。その間も定期的に木の消毒や畑の草刈りが必要です。
 素人なので当初の想定より時間を要します。また人の手の作業が多く、天候にも左右されて計画が立てにくい面もありますが、実が大きくなると愛着が湧きます。収穫が楽しみです。

愛着をもって柿の成長を見守る原口本部長

融和して強み生かす

企業が農業に参入するのは難しいのでしょうか。 

日野 そう簡単ではありません。参入してすぐは収益が不安定ですし、何より地元農家の理解を得ることが難しいからです。
 農家からすれば、いきなり「よそ者」が地元に入ってきて、うちの土地を取られるかもしれないと勘ぐりますよね。義父から園を継いだ当時、私もよそ者でした。ですから、まず地元のおじさん、おばさんと融和しようと心がけました。「おはようございます」と声かけを一つするだけでも、信頼関係が生まれます。

生産のプロとして入念に品質をチェックする日野園主

 同じように、企業と農家の間でも、普段の声かけは大事です。一つ一つを大切にすれば、農家の方も、じゃあうちの畑を手伝ってもらえないか、農産物の売り先をちょっと見つけてくれないか、となることもある。そうなると企業の強みが発揮でき、お互いウィンウィンの関係になります。

 今回、岩田産業と一緒に農業に取り組んでいますが、地元の理解が得られています。園で作業する原口さんはコミュニケーション能力が高く、助かります。

今回作った柿はどう販売するのでしょうか。 

岩田 私たちの一番の強みは、九州・山口の2万5千件の外食、中食に携わるお客さまとのつながりです。今年は日野さんと一緒に栽培したおいしい柿を紹介し、販路を増やすチャレンジをしていきます。
 この取り組みではもう一つ、農家の収益をどう上げられるかを探るという狙いもあります。ブランド柿なので、加工や輸出を行い付加価値の最大化を模索します。

初挑戦にうってつけ

クルーをやりたい人に助言などはありますか。 

合屋 私は以前、農家の方や、農業との接点が全くありませんでした。スマートフォンで登録や利用も簡単なので、農業に初挑戦してみたい人には、うってつけのアプリだと思います。
 働いて分かりましたが、日野さんや他の農家さんたちは、優しく接してくれます。丁寧に作業内容を教えてくれるし、休憩時もこまめに水分を取ってとか、気遣いしてもらいました。

説明を受ける農HOWアプリの登録クルーの女性と原口本部長

和田 私見ですが、クルーに向くのは退職後のセカンドキャリアを迎えた人だと考えます。あとは子育てが一段落した家庭の主婦とか。女性で家庭菜園をやっている人は多いですよね。
 企業が研修として従業員に農業体験をしてもらい、そこで目覚めた人にはこのアプリを使って農業をやってもらい、副業として認めるのも面白いですよね。

子どもたちが農業に向き合うために、アプリを活用できないでしょうか。 

福岡県立朝倉光陽高等学校 校長 井上雅水氏

井上 本校では実習を嫌がる生徒は少ないというのが実感です。逆に楽しんでいるように感じます。体を動かすため、時間があっという間に過ぎるのでしょう。職業として農業を選ぶかは別として、食農科学科で学んだことを生かすため、アプリを使って農業のアルバイトを試してみるのも一つの方法かと個人的には思います。

課題解決へ耳傾ける

アプリ「農How」は、農業の課題解決のために有用だと感じました。これからも福岡、佐賀両県で登録する農家、クルーを増やさなければなりません。 

原口 当社は、登録農家を増やすため、両県の支店や営業所の社員たちが営業時間を利用して1件ずつ農家を訪問し、アプリを案内しています。
 また情報発信のため、Tiktokチャンネルも開設しました。果樹園で私たち岩田産業の社員が柿を栽培する動画が掲載されています。ぜひ見てください。

岩田 私たちの会社が「農How」アプリに対する考え方がある一方、実際にクルーとして働いた和田さん、合屋さん、生産者として利用している日野さん、そして朝倉光陽高校の井上さんの話を受け入れ、進化させることが大事だと感じました。
 進化させて、当初の課題を一つでも二つでも、解決することが事業に取り組む意義です。今後もステークホールダーの皆さんと向き合い真摯に耳を傾けます。

コンテストにも注目

最後に、岩田産業が今年初めて実施するSDGsアイデアコンテストについて意見を聞かせてください。 

井上 本校では、栽培した農産物でいわゆる「B級品」が出た場合、チップスとか、ジャムなどに活用しています。このようにSDGsを意識することが大事です。コンテストとして企画に参加したり競ったりすることで、生徒たちは真剣になりますし、その取り組みを発表する場があることも素晴らしいことです。今後もこの活動を続けてほしいと思います。

日野 農業は持続可能な分野ですが、廃棄ロスなどの問題も抱えます。高校生、大学生たちにも農業に目を向けてほしい。食品流通卸の岩田産業が取り組むことはすごく評価したい。

今後のスケジュールを教えてください。 

岩田 高校生の部、専門学校・大学生の部、飲食店の部の3部門で、多数の応募がありました。初めてなのでもっと少ないかと思っていましたが、予想を上回り嬉しいです。
 今後、社内のSDGs委員会で、各部門3組ずつをファイナリストに選考します。9月18日、当社がマリンメッセ福岡で開く「岩田産業グループ・秋冬フードフェア」において、プレゼンテーションしてもらい各部門の最優秀賞を決めます。こちらもぜひ、注目してください。

Sponsored by
岩田産業グループ
岩田産業グループ、農村課題の解決へ本腰/アプリ「農How」で農業の担い手マッチング|【西日本新聞me】