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【岩田産業初開催のSDGsコンテスト】五島海陽高、福大・柴田チーム、うきはの宝が最優秀賞/ アイデア披露、商品化も検討

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岩田産業
2024/11/5 14:282024/11/5 14:28 更新)

 食品・酒類の業務用卸業、岩田産業(福岡市)グループが主催する「SDGsアイデアコンテスト」(福岡県、西日本新聞社後援)の審査会が9月18日、福岡市のマリンメッセ福岡であった。

 応募者のうち、高校生の部で五島海陽高(長崎県)が最優秀賞となるなど3部門の上位が決まった。 他の部門の最優秀賞は、専門学校・大学生の部で「福岡大・柴田チーム」、外食産業・中食産業の部で「うきはの宝」(福岡県)がそれぞれ選ばれた。

 コンテストは、九州産食材の地産地消やフードロスの解消など、食にまつわるビジネスアイデアを募り、持続可能な開発目標(SDGs)に寄与しようと同社が初めて開催。上位に選ばれたアイデアは今後、商品化も検討するという。

 審査会は、岩田産業グループが例年開いている「秋冬フードフェア」内のイベントとして実施。フェアは食品メーカーなど出展250社が、これからシーズンを迎える自慢の商品や食材を飲食業者らに提案するもので、約2,300人の関係者が来場する中で行われた。

 会場では、同社のSDGs委員会による事前審査を通過した3部門のファイナリスト計9組が、スライドの画像を用いながら、それぞれのアイデアをプレゼンテーション。「商品・サービスの独創性や具体性」「顧客マッチング」「経済資源」「持続性・将来性」「プレゼン方法」―の項目で評価点を競った。

 審査委員長は同社の岩田章正社長が務めたほか、その他の審査員には大手食品会社、種苗会社、総菜協会、農園、栄養士、司厨士などの団体の幹部らが名を連ねた。審査員は次の通り。

・岩田産業株式会社代表取締役社長 岩田章正氏(審査委員長)
・西日本シティ銀行取締役常務執行役員 小湊真美氏
・コカ・コーラボトラーズジャパン九州地区統括部長 関敬介氏
・味の素食品事業本部九州支社長 岡村由紀子氏
・トキタ種苗ゲストイタリアPJ顧問 福田裕子氏
・ゆう美果樹園 園主 日野勇樹氏
・一般社団法人日本惣菜協会専務理事 清水誠三氏
・公益社団法人福岡県栄養士会 大部正代氏
・一般社団法人全日本司厨士協会福岡県本部会長 西木廣幸氏
・株式会社カウテレビジョン代表取締役社長 高橋康徳氏

ファイナリスト9組による、プレゼンテーションの概要

◎中食・外食産業の部


【最優秀賞】うきはの宝(福岡県うきは市)「野草プロテイン」(発表:大熊充代表)  

 福岡県うきは市でスタッフの多くが75歳以上の女性という会社を経営している。「生きがい」「収入」を得てもらうため、総菜やスイーツなどの食品をメインで製造しているが、今回は里山を活用して野草を使ったプロテインを作る。

 里山で自生するクマザサ、ヤブニッケイ、ヨモギ、スギナを採取し、乾燥、粉末にするまでを自社で行う。ブレンドは別会社に協力してもらうが、野草が体にもたらす効能と、タンパク質不足をプロテインで補うことによって、若い世代から高齢者までのフレイル(虚弱体質)を予防したいと考えている。

 

【優秀賞】熊本郷土料理青柳(熊本市)「3つの目利き」(発表:松村愛レセプタントリーダー他)

 創業75年目を迎える郷土料理店で、熊本地震やコロナ禍という苦境に見舞われる中、社員全員が参加して「青柳SDGs2030ビジョン」を作成した。「食」「人」「時」という三つの視点から、2030年までに店舗が成長するための具体的な目標を掲げた。

 その一つとして、毎日だしを取った後に廃棄していたかつお節を再利用する形で、オリジナルふりかけ「もったいなかつお」を商品化。年間300㌔のフードロス削減と、年間210万円の粗利益の創出につなげた。 

 

【特別賞】ドーエイ(北九州市)「食に関するSDGsアイデア」(発表:山本浩靖飲食事業部八幡社内食堂支配人他)

 安川電機のグループ会社として社員食堂の業務を担っている。本社だけでも1日1600食を提供する中、SDGsの取り組みで害獣として駆除したシカやイノシシの肉、規格外野菜を食堂で利用している。これまでスパイシーカレーやぼたん鍋といったメニューを提供した。

 これからのアイデアとしては、骨や食用にならない肉、野菜のくずや皮なども食品乾燥機を使ってセミドライ加工することで、ペットフードとして販売したい。フードロスを減らし、新たなビジネスモデルとなる可能性もある。


◎大学・専門学校の部


【最優秀賞】福岡大・柴田チーム「子供達の野菜の好き嫌いをなくす」(発表:柴田唯衣さん他)

 子どもの野菜嫌いをなくすため、子ども自らが①農業体験で野菜を収穫する②飲食店などで提供される場面を見学する③野菜を実食する―という三つの体験を通じ、野菜への関心を高めてもらいたいと考える。

 具体例として、岩田産業グループのイワタダイナーズが運営する「ピザクック」に子どもたちが収穫した野菜を持ち込み、野菜を使ったピザを作り、自ら食べることを提案したい。野菜嫌いの克服だけでなく、子どもが農業に興味を持ち、将来的な就農者の増加につながると考えている。

 

【優秀賞】福岡大・大坪チーム「規格外品は捨てずに活用!」(発表:大坪千夏さん他)

 規格外野菜を極力廃棄せずに有効活用する方法に着目した。その一つとして、1人暮らしの学生をターゲットにし、大学構内で販売する野菜店「野菜の居場所」を提案したい。

 農家から仕入れた規格外野菜を大学までトラックで運び、そのまま学内の一角で販売する。営業は昼休みから夕方にかけ、講義のために学内を訪れた学生たちがバイキング形式で欲しい分だけ買える形にする。トラックのデザインを目立たせることでSNS映えも意識する。

 

【特別賞】九州大・橋口チーム「プロジェクト ハラルQ」(発表:橋口創一さん他)

 イスラム教の戒律に基づいて食べることが許される食材や料理「ハラルフード」。天神や博多で食のフェアを通じてハラルフードを食べてみる日を設けたり、九州限定のハラル認証制度を導入したりして、まず認知度を上げてはどうか。

  九大の学食でもイスラムの留学生向けにハラルフードが提供されているが、日本の学生もおいしく食べられることを知った。ハラルフードが九州で広まれば、イスラムの観光客が増え、九州産の肉や野菜を使ったハラルフードでSDGsに寄与し、九州の食資源を世界に発信できるだろう。

 

◎高校生の部


【最優秀賞】長崎県立五島海陽高校「海で拾ったおいしい宝物」(発表:桑村和海さん)

 五島近海で藻場を荒らすために捕獲される魚、イスズミをきちんと料理することで食材としての付加価値を高め、漁業者に利益をもたらして地域に貢献しようと、①「イスズミの甘酢あんかけ」②「イスズミの皮でチャンジャ風」という2品の料理を開発した。

 甘酢あんかけは料理酒やショウガに漬けて臭みを取り、チャンジャ風はコチュジャンやごま油であえるなどして作った。低価格での販売が可能で、やや濃いめの味付けなので、酒の肴として五島の産品を扱う居酒屋やホテルで扱ってもらうのが良いのではないか。

 

【優秀賞】熊本県立八代農業高校泉分校「地域の魅力を発信したい!」(発表:三原悠高さん他)

 八代地区は野生動物による農作物被害が多く、シカ被害が顕著であることから、猟友会などの協力のもとシカのジビエ肉や皮を利用したSDGsプロジェクトを始めた。これまで①地元の伝統芸能「久連子古代踊り」で使う太鼓にシカ皮を用いて作成②シカ肉を使ったピザまん作り―に取り組んだ。

 太鼓は改良を重ねて品質の良いものに仕上げ、ピザまんも生地とソースの割合や肉の分量などレシピの再改良により高評価を得た。SDGsの目標達成に向け、これからはシカ皮のほか角を利用した小物の作成、シカ肉の商品開発も継続して行おうと考えている。

 

【特別賞】大分県立大分商業高校「フードロスシステムで繋がるSNSの新しい活用法」(発表:後藤穂花さん他)

 食とSDGsを掛け合わせたビジネスプランとして、自分で作った野菜料理の写真をインスタグラム上で公開し、レストランや外食店で商品として採用された場合は報酬としてクーポンを受け取る「愛情レシピコンテスト」を提案したい。

 商品化に当たり、農家から送られる廃棄野菜を使うため、農家は廃棄野菜が減り、価格高騰が続く外食店はコスト減につながる。これによりSDGsに寄与するだけでなく、農家と外食産業、生活者がハッピーになれるのではないか。

審査総評・岩田章正審査委員長

素晴らしい発想、来年はさらに進化

 「外食、中食産業の部ではSDGsに関して既に事業で取り組んでいることがあり、多くの学びになった。専門学校・大学生の部では自分の身近な人の食の課題をしっかり見つめ、深掘りしていた。生産者や世界に目を向け、九州から発信しようというアイデアには驚いた。高校生の部では地元の課題を見つめてその解決法を考えたほか、SNSによる参加型マーケットをつくろうという発表もあった。私たちにはない発想で素晴らしかった」

 「きょうの皆さんによる発表と、審査員のアドバイスや意見を、岩田産業グループが一緒に実現できるようやっていくことが大きな意義だと思う。来年はさらに進化したSDGsコンテストにしたい」

審査員コメント(一部を抜粋し、要約)

◇トキタ種苗・福田氏(福岡大・柴田チームへのコメント)

 飲食業界にSDGs意識付ける

 「野菜の種を品種改良する会社として、野菜の話を提案してくれたのはうれしい。イタリアやフランスの野菜を栽培し、ピザクックなどの飲食店に卸している『博多ヨーロッパ野菜研究会』という団体があり、私たちはそのお手伝いをしている。姪浜とかにもメンバーの農家がいるが、研究会と手を組み、ぜひ一度(子どもたちの農業体験の)実証実験をやってほしい」

(岩田産業のSDGsコンテストについて)
 「特に高校生や大学生の発表が素晴らしかった。うわべだけではなく、農業や漁業を目の前で見てきて、地に着いた課題感があった。岩田産業は卸業だが、卸業によるSDGsコンテストの開催は聞く限り初めて。飲食業界はカーボンニュートラルの取り組みをはじめ、SDGsからは少し離れたところにいると感じるので、意識付けにつながる良い取り組みだと思う。私たち種苗メーカーとしては、これまで飢餓が起きないよう野菜の種を作りに取り組んできた。そういう面に外食産業が関わるのは非常にありがたい」

 

◇味の素・岡村氏(大分商業高へのコメント)

 岩田産業を基盤に実現も

 「今はSNSを通じて個人が情報を発信でき、それがビジネスにつながる可能性がある。そこへの着目はすごく面白いと思った。そして飲食店、生産者、生活者の三方良しの素敵なアイデア。これをつなぐプラットフォーム(基盤)に、最近野菜も取引している岩田産業がなりうるのではないか。実現に向けて相談してもいいかもしれない」

(岩田産業のSDGsコンテストについて)
 「私たち食品メーカーのSDGsの取り組みとして、パッケージの簡素化や全体で二酸化炭素を削減することが挙げられる。今回、岩田産業のコンテストはもっとみんなでSDGsへの意識を高めよう、それぞれが取り組めることを考え、1個ずつやっていこうというもの。より実証的だと感じる。コンテストを続けてアイデアの種を育ててもらい、私たちもビジネスとして絡んでいけたら、と思う」

 

◇日本総菜協会・清水氏(五島海陽高へのコメント)

社会貢献につながるコンテスト

 「日本は多くの島があることで、排他的経済水域は世界6位の広さを誇る。そんな島の人口減や産業衰退は大きな問題だが、それを活性化させるいいアイデア。イスズミだけでなく他の未利用魚や海洋資源を使い、五島の経済や産業の発展そして人口増を目指してほしい。他の島にもその影響が広がり、日本に元気が出るようになればいい」

(岩田産業のSDGsコンテストについて)
「世間ではSDGsは言葉のみが先行している感もあるが、今回の会場では、岩田産業はしっかりとSDGs関連商品のブースを設け、このコンテストでは若者たちの発表の場も提供している。勉強しようというモチベーションが高まり、非常に大きな社会貢献になると思う。食品卸業、商社としてこれまで聞いたことがない素晴らしい取り組みで、取引先が2万5千件ある岩田産業だからこそ、と感じた。私自身、今回審査員を務め、若い人のアイデアに触れられて良かった」

各部門の最優秀賞コメント

◇「うきはの宝」大熊充代表
 受賞、商品化に向けて弾み

 「クマザサなどは糖尿病を防いだり、血圧を下げたりする効果が期待されるが、これら野草は全て近隣の里山で採取できるため原材料としても豊富だ。今回の受賞は、野草プロテインをこれから商品化するに当たって弾みになるし、PRにもつながる」

 

◇福岡大・柴田チームの柴田唯衣さん
 アイデアぜひ実現したい

 「大学でマーケティングを学んでいる。子どもの頃野菜嫌いだったことをテーマに決め、SDGsにつなげようと今回発表した。最優秀賞はすごくうれしい。審査員の感想でも好評価を頂き、自分たちのアイデアが実現できるならば、ぜひやってみたいという気持ちだ」

 

◇五島海陽高校の桑村和海さん
 感動して自信も持てた

 「食害魚のイスズミを活用する発想は、父親が市役所水産課で働いていることがきっかけ。SDGsに貢献できないか、九州全域に広げられないかを自分で考えてみた。最優秀賞に感動したし、アイデアが(ビジネスで)通用するんだと自信を持つことができた。他の参加者の意見も聞けて参考になった」

出展業者もSDGs推進

福岡でヨーロッパ野菜の販路拡大へ

 会場のマリンメッセ福岡では、独自の取り組みでSDGsを推進する出展業者を紹介するコーナーも初めて設置された。

 岩田産業グループの一つで、生鮮野菜や果物の専門卸業「イワタフーズ」のブースでは、近年取り扱いを始めたケールやカラフルなニンジンなど、付加価値や希少性が高いヨーロッパ野菜を今回初めて展示した。

 生産するのは、福岡の六つの農家でつくる「博多ヨーロッパ野菜研究会」。岩田産業グループとして、SDGsの一つである農家の安定生産や地産地消を後押しており、同研究会がつくるヨーロッパ野菜の良さを知ってもらい、販路拡大につなげようと企画した。

  同グループ業務統括本部の斉藤修マネージャーは「国産野菜はもちろんおいしいが、ヨーロッパ野菜も彩りなど個性があっておいしい。福岡、九州で取り扱い先を広げたい」と語った。

  ブースではほかに、人手不足に悩む農家と、隙間時間に農業現場で働きたい人をつなぐマッチングアプリ「農How」も紹介。配布チラシのQRコードにスマートフォンをかざすと、アプリの特徴であるキャベツの収穫やイチゴの摘み取りなど農作業の様子が一目で分かる動画の視聴が可能で、来場者にアプリの使い勝手の良さをPRした。

 

端数商品を詰め合わせ返礼品に

 SDGsコーナーに出展した業者のうち、冷凍食品大手「ニチレイフーズ」(東京)は、福岡県宗像市の工場で取り組んでいる「環境型ふるさと納税」を紹介した。この取り組みは、製造現場で端数になるなどして余り、出荷に至らなかった冷凍食品の商品を詰め合わせて、市のふるさと納税の返礼品とするもの。

  会場では、返礼品として提供している、同工場で出荷されなかったチャーハンやたい焼きなどの詰め合わせを展示。会社として、フードロスに取り組んでいることをアピールした。同社の佐藤友信サステナビリティ推進本部長は「少しずつ余った商品を無駄にせず、詰め合わせている。何が入っているか開けるまで分からず、楽しみにもなるはず」と語った。

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