乾癬(かんせん)ってどんな病気? 医師に相談するときは?
監修:福岡大学医学部皮膚科学教室 教授 今福信一先生
乾癬は、免疫機能の異常によって引き起こされ、体のさまざまな場所に出てくる皮膚の病気です。炎症を起こしやすい体質の人に、環境因子(不規則な生活や食事、ストレス、肥満、喫煙、感染症など)が加わると発症すると言われています1,2)。病名の「かんせん」が「感染」をイメージさせますが、実際にはうつる病気ではありません1,3)。
「乾癬とはどのような病気なのか」、基本情報を紹介します。さらに今回、医師に相談するときのポイントなどを福岡大学医学部皮膚科学教室の今福信一教授にお聞きしましたので、ぜひ参考にしてください。
まずは乾癬について知っておきましょう
こすれる場所にできやすく、6~9割にかゆみの症状4)
乾癬は全身のどこにでもできる可能性がありますが、特に「ひじ」「ひざ」「背中」「すね」「おしり」など衣服と肌がこすれる部位や「頭部」など毛髪の刺激を受ける部位はできやすくなります5)。
主な症状は、皮膚が赤く盛り上がり、その表面に銀白色の細かいフケのようなものができて、それがはがれ落ちます。また、患者さんの60~90%にかゆみの症状がみられます4)。手や足の関節に痛みなどの症状が出る場合もあります。

治療法と生活習慣の改善
乾癬の治療法には、大きく分けて「塗り薬」「飲み薬」「注射薬」「光線療法」があります6)。どの治療法を選択するかは、患者さん一人一人の症状や重症度、日常生活にどのくらい苦痛があるのか、ライフスタイルなどを考慮して決めます。治療に関する疑問はもちろん、治療に求めることも遠慮せず医師に伝えましょう。特に生活習慣が発症や症状悪化の引き金になっている人は、それらを改めることも重要と考えられています。
皮膚科医と良いコミュニケーションをとるためには
乾癬は慢性疾患ですので、先を見据えた治療が必要です。そのため、患者に伴走してくれる皮膚科医とのスムーズなやりとりは欠かせません。
福岡大学医学部皮膚科学教室の今福信一教授に、患者が医師と上手にコミュニケーションするためのポイントを挙げていただきました。

■取材協力/福岡大学医学部皮膚科学教室 教授 今福 信一 先生
1991年九州大学医学部卒業後、同付属病院皮膚科学教室医員。1992年米メリーランド大学医学部皮膚科学教室医員、2007年福岡大学医学部皮膚科学教室講師などを経て、2014年より現職。日本皮膚科学会認定医。専門は乾癬、ヘルペスウイルス感染症など。
①目標を立てて医師に相談しましょう
— 受診前に考えておいた方がよいことはありますか。
(今福先生) 治療に向き合うにあたって、皮膚の症状を治すことだけではなく、その先にどう生きていきたいかの目標がとても大切だと思います。また、医師も治療プランを立てるときに、乾癬の症状の軽減はもちろん、患者さんがどんな人生を送りたいのかを考えて取り組みます。治療の目的や目標は、患者さん一人一人異なります。乾癬があってもご自身が人生をどんな風に生きていきたいのか、医師に気持ちを伝えられるよう、考えをまとめておくと良いでしょう。
— 例えば、どのようなことでしょうか。
(今福先生) ピアノを弾くので関節の痛みを抑えたいとか、体育の教師なので人前で服を脱ぐため皮疹を何とかしたいとか、そういう具体的な目標があると、治したいという動機付けがしっかりしてきますし、医師も治療方針を立てやすいのです。「先生に治療はお任せ」ではなくて、自分がしたいことや希望していることを、乾癬の症状がどう妨げているのかをしっかり伝えると良いのではないでしょうか。
②医師に自分の状況を伝えましょう
— 受診の時、医師にどのようなことを伝えればよいでしょうか。
(今福先生) 治療は患者さんの全身的な状況を把握した上で行います。ですから、ほかの医療機関にかかっている人は診察結果やお薬手帳、血糖値や血圧の手帳を、健康診断や人間ドックを受けた人はその結果などを持参してもらうと、医師としてはいろいろ考えることができますし、乾癬の診察にも役立ちます。また、通院が始まったら、前回の診察後に起きた出来事はできるだけ医師に話してもらえると状況がわかって方針が立てやすくなります。
不安や疑問に思っていることも遠慮なく言ってください。症状が良くなったから何も言わないでおこう、などと考えなくて良いのです。良くなったら次は「自宅近くの病院で治療を続けたい」といった要望もあれば医師に相談してみてください。
③メモ書きで要点をまとめてから話してみては
— 緊張してうまく伝えられない人へのアドバイスを。
(今福先生) 病院という特別な空間にいることもあり、診察中はうまく話せないこともあるでしょう。終わってから「あれを言えばよかった」と後悔しなくて済むように、不安や相談事などを事前にメモ帳にまとめてみてはいかがでしょうか。話しやすくなり、医師側もポイントがつかみやすくなります。
— 最後に患者さんへのメッセージを。
(今福先生) 乾癬の治療法は10年ほど前から大きく進歩し、いろいろな新しい治療が出てきています。皮膚科の専門医は多くの情報を持っており、さまざまな選択肢を示すことができます。まずは、専門医に相談することをお勧めします。

【参考文献】
1)山本俊幸編集:乾癬・掌蹠膿疱症 病態の理解と治療最前線, 中山書店, 2020
2)日本皮膚科学会:皮膚科Q&A 乾癬
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa14/q03.html(2021年11月10日閲覧)
3) 日本皮膚科学会:皮膚科Q&A 乾癬
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa14/q04.html(2021年11月10日閲覧)
4)Komiya E, et al.:Int J Mol Sci, 21:218406, 2020
5)Kamiya K, et al.:J Dermatol. 48:864-875, 2021
6)飯塚一:J Visual Dermatol, 16:850-852, 2017
7)多田弥生:Derma, 259:57-63, 2017