九州地方・福岡県の経済を活性化させるM&Aとは「事業承継 紙上セミナー」第四弾
M&Aキャピタルパートナーズによる「事業承継 紙上セミナー」の第四弾は、後継者不在による「あきらめ廃業」を防ぐM&A事例について、同社執行役員 企業情報部 部長九州エリア 管掌 山﨑 研氏が語ります。
九州エリア 管掌 山﨑 研氏
後継者不在を解決する新たな選択肢
廃業の危機を救った一本の電話とM&A
全国の経営者の平均年齢は上昇傾向にあり、帝国データバンクによると50代以上の経営者の割合は82・6%と年々高まっています。そんな中、後継者が見つからないまま限界を迎え、やむを得ず廃業する中小企業は少なくありません。ある地域密着型の調剤薬局も、一度は廃業を決断しましたが、一本の電話を機にM&Aによる事業承継を成功させ、廃業の危機を回避し、従業員や地域医療を守った事例を紹介します。
歴史ある調剤薬局が迫られた苦渋の決断
ある調剤薬局は、オーナーの父が創業し、〝町の薬屋さん〟として約60年間地域医療を支えてきました。やがて経営者自身も高齢になり、慢性的な薬剤師不足にも悩む中、コロナ禍が同社を襲いました。経営環境が悪化する中で取引先への譲渡も検討しましたが、交渉は難航。そして役員同士で話し合い、数か月後に廃業することを決断したのです。
一本の電話がきっかけ
事態が急転したのは、廃業を決断したわずか2日後。M&Aキャピタルパートナーズから経営者の元へ、M&Aによる第三者承継の提案電話がかかってきたのです。すでに廃業を決断したものの、話だけ聞いてみようと会う約束をしたオーナーは、アドバイザーからM&Aによる第三者承継のメリットや留意点、同じ地域でのM&A実績を聞き、承継先候補の提案を受けることに。当初はM&Aにネガティブな印象を持っていましたが、実績や具体的な譲受候補企業などの話を聞き、前向きな姿勢へと変化していきました。そして、全国で商圏を拡大している大手調剤薬局への譲渡を決断したのです。廃業が迫る中、アドバイザーの調整もあり、無事成約に至ることができました。

自社にとってベストな選択肢の検討を
廃業というプレッシャーから解放され、従業員や家族を守ることができたオーナーは、「とにかく肩の荷が下りた」と語っています。さらに、M&A後は大手企業のリソースを活用し、より強固な経営基盤での事業運営や採用力強化など、成長を加速させました。
まずは事業承継の選択肢について情報収集を行うことで、同社のように廃業以外の選択肢を知ることが重要です。
後継者不在による「あきらめ廃業」を防ぐ
知られざる企業価値が廃業危機を救う
後継者不在を理由に休廃業を選ぶ「あきらめ廃業」が増加しています。事業承継において、その選択肢を情報収集し、自社の企業価値と未来の可能性を正しく理解することは非常に重要です。次に、廃業寸前だった老舗酒屋がM&Aで隠れた企業価値を見出し、事業存続を実現した事例を紹介します。
中小企業で増える「あきらめ廃業」

近年、後継者不在を理由に事業をたたむ「あきらめ廃業」が後を絶ちません。2025年の休廃業・解散件数は過去10年間で2番目に多い水準となりました。休廃業は従業員の雇用だけでなく、地域のサプライチェーン断絶など経済に大きな影響を及ぼします。こうした廃業の背景には、経営者が「親族内承継」以外の選択肢を把握していないことが挙げられます。M&Aなどの第三者承継の選択肢を正しく理解し、自社の状況に合わせて検討することが、円滑な事業承継の第一歩となります。
創業110年の老舗酒屋が直面した危機
ある地方の創業110年を超える老舗酒屋では、経営を担っていた3代目社長が急逝し、急遽妻が新社長に就任しました。二人の息子は会社を継ぐ意思がなく、当初は廃業も視野に入れていました。しかし、元銀行員であった新社長が廃業以外の選択肢を調べ、第三者へ事業を引き継ぐM&Aの存在を知ったことで状況は一変します。支援機関などを通じて情報を集め、紆余曲折を経た結果、中部エリアの成長企業を譲受先とするM&Aが成立し、廃業を回避したのです。
当事者も気づかない「真の企業価値」とは
M&A成立の鍵となったのは、「旧酒販免許」という高い付加価値でした。昭和時代に交付されたこの免許を持つ会社を譲り受けることで、通信販売会社などは全国へアルコール類を販売できるようになるというメリットがあります。
M&Aの現場では、経営者自身の認識とは異なり、第三者の視点から思いもよらない「真の企業価値」が見出されるケースは少なくありません。廃業を決断する前に、専門の支援機関へ相談して自社の価値や選択肢を知ることが重要です。
一本の電話から始まった事業承継
M&Aによって後継者不在廃業を回避
九州地方でも経営者の高齢化や後継者問題などを背景に、事業を畳む「あきらめ廃業」を決断する企業が増加しています。今回は、後継者不在で廃業を決断した地域密着型の調剤薬局が、一本の電話をきっかけにM&Aによる事業承継を実現した事例を紹介します。
九州・沖縄で増えるあきらめ廃業

帝国データバンクによると、2025年に九州・沖縄で休廃業・解散した企業は6,180件となり、3年連続で増加、過去10年で最多を更新しました。企業倒産も890件にのぼり、両者を合わせると7,000社を超える企業が市場から退出しています。休廃業・解散時の代表者平均年齢は71・1歳で、70代以上が63・5%を占めました。物価高や人手不足に加え、経営者の高齢化や後継者問題が重なり、事業承継が進まないまま廃業を選ぶ企業もあるとみられます。
家族経営の調剤薬局が廃業を決断
ある地域密着型の調剤薬局は、オーナーの父が昭和20年代に創業し、約60年間にわたり地域医療を支えてきました。父の死後、薬剤師であるオーナーが事業を承継し、妹や母、妻とともに家族経営を続けてきました。しかし、オーナーの高齢化に加え、薬剤師の人手不足やコロナ禍が経営を直撃。取引先への譲渡も検討しましたが頓挫し、役員で協議した結果、数か月後に廃業することを決断しました。
廃業決断の2日後 一本の電話で状況が一変
廃業を決断した2日後、M&Aキャピタルパートナーズのアドバイザーからオーナーに電話が入りました。M&Aによる第三者承継の説明や同エリアでの実績、具体的な譲受候補の提案を受け、オーナーはM&Aを前向きに検討。全国で事業を展開する大手調剤薬局への譲渡を決断し、廃業まで数か月という期限のなかで成約に至りました。
M&Aによって廃業を回避したことで、地域医療や従業員の雇用を守ることができました。さらに、大手企業の経営資源を活用し、経営基盤や薬剤師の採用力の強化も期待できます。廃業を決断する前に、M&Aを含む事業承継の選択肢を知り、自社の可能性を検討することが重要です。
※M&Aキャピタルパートナーズは、全国新聞各社と“事業承継・事業成長の選択肢”を広める取り組み「地域共創プロジェクト」第十弾として、西日本新聞社と業務提携契約を締結、福岡県内における「地域共創プロジェクト」を始動しています。

■語り手:M&Aキャピタルパートナーズ株式会社
執行役員 企業情報部 部長
九州エリア 管掌 山﨑 研氏

大手証券会社にて上場・未上場企業オーナーの資産運用およびIPO支援・M&A支援に従事。当社上場前の2011年から当社に参画し、社内歴代トップのM&A成約件数を有している。また、業界プロフェッショナルチーム(IT・ヘルスケア・物流・食品・建設・不動産)を組成しトップを務めている。2023年に執行役員就任。
■お問い合わせ
地域共創プロジェクト事務局(西日本新聞社)
TEL:092-711-5128