利便性を追求した金融事業で中小企業の課題解決へ
「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」というビジョンのもと、印刷や広告、物流など多様な事業を通じて中小企業などの経営支援に取り組むラクスルグループ。2025年、同グループは中小企業を金融面からも支える新たな一手として、GMOあおぞらネット銀行と提携したネット銀行サービス「ラクスルバンク」を開始した。
なぜ金融事業に乗り出したのか、利用するメリットはどこにあるのか、ラクスルバンク株式会社代表取締役CEO(最高経営責任者)の杉山賢氏に聞く。

ラクスルバンク株式会社 代表取締役CEO 杉山 賢氏
早稲田大学国際教養学部卒。ゴールドマン・サックス証券、サイカを経て、23年にラクスルへ入社。グループCFO(最高財務責任者)として企業価値向上をけん引するとともに、ラクスルバンク株式会社の代表取締役CEOとして中小企業向けネット銀行サービス等金融サービス事業を展開。
中小企業経営を圧迫する「見えないコスト」3・5%
―金融事業という新たな領域に挑んだ経緯は。
私たちラクスルグループは、起業から人材募集、集客、マーケティングまで中小企業のあらゆる局面の経営課題を解決する資材やサービスを提供しており、顧客ID数は300万超に上ります。
中小企業の経営課題を〝端から端まで〞解決することを目指し事業を展開する中で見えてきたのは、人材募集や集客など中小企業がさまざまな局面の課題をクリアする過程で、決済や入出金など金融に関わる手続きが必ず発生するということでした。そうだとしたら、金融面においても経営課題の解決策をご提供したい――。それが「End-to-End」を掲げるラクスルグループの使命だと考えたのです。
また、日本の金融サービスはBtoCの領域では高い利便性を有していますが、BtoBの領域においてはまだまだテクノロジーによる変革が求められることも金融事業に挑む契機となりました。
―中小企業の金融面における課題とは。
金融サービスの利用にあたっては保証料やカード年会費、振込手数料、ファクタリング、人件費、ネットバンク利用料など「見えないコスト」が発生しており、中小企業の売り上げに占めるそれらコストの割合は3 ・5%に上ると当社は試算しています。仮に営業利益が10%だとすると、利益の3分の1が「見えないコスト」に消えているわけです。
そうした「見えないコスト」が中小企業の経営を圧迫していることが最大の課題だと考 え、その課題を解決する一つの答えが、中小企業向け金融プラットフォーム「ラクスルバンク」ということです。
業界最安級! 振込手数料119円
―中小企業の課題解決に向け、ラクスルバンクが打ち出した施策を聞かせてください。
まず従来の法人向け金融サービスを利用するうえで課題となっている一つは、その費用です。通常300〜500円と振込手数料が高いのに加え、法人向けカードは年会費が高額な割にポイント還元率が低いなど個人向けカードと比較すると見劣りします。
そこで、ラクスルバンクでは業界最安級の振込手数料119円を実現。例えば、3万円以上の他行あて振り込みが月30件あった場合、従来の法人向け金融サービス(振込手数料を500円と仮定)ならば、年間振込手数料が18万円のところ、ラクスルバンクでは4万2840と13万7160円のコスト削減が実現します。
また、ラクスルバンクのデビットカードは発行手数料・年会費無料で、通常2%のポイントを進呈。ポイントはラクスル内の印刷や広告、ホームページ制作などに1ポイント=1円で利用できます。

―「利便性」においても変革に挑戦しています。
従来の法人向け金融サービスでもう一つネックとなっているのが、電子証明書やオンラインバンキングの営業時間制限などの不便さにあります。
ラクスルバンクでは、利便性を徹底的に追求。法人口座開設が最短で当日、オンラインで完結するほか、口座開設後すぐに振り込みや入金、残高照会、取引履歴のダウンロードが可能です。取引はすべてラクスルバンクのアプリ上で完結し、システムメンテナンス時を除き、24時間365日、リアルタイム入出金・即時反映に対応しています。
―気になるセキュリティーは。
ラクスルバンクはGMOあおぞらネット銀行と連携し、同行の「BaaS(バース/Banking asa Service)」を活用して提供する金融プラットフォームです。FISC安全対策基準※に準拠したセキュリティー対策に加え、2段階認証や各種制限設定などラクスルバンク独自の利便性・安全性向上対策を組み合わせることで、「使いやすさ」と「強固なセキュリティー」を同時に実現しています。
※公益財団法人金融情報システムセンター(FISC)の定める金融機関等コンピュータシステムの安全対策基準
経営課題を解決する多様な機能を拡充
―ラクスルバンクを利用している中小企業の反応は。
サービス開始から間もなく半年というところですが、口座開設数は着実に増えており、高頻度でご利用いただいている企業様も少なくありません。特に、毎月の振込件数が多い企業様には経済的に大きなメリットを感じていただいているようです。
ラクスルバンクでたまったポイントを使い、ラクスルの法人向け総合ECで必要な資材を調達するなど、ラクスルグループのサービスを複合的に利用することでさらなる経済効果を実感されている企業様もいらっしゃいます。また、タクシーでの移動時にスマートフォンで振り込み承認ができるなど、高い利便性も大変ご好評をいただいています。
―今後のビジョンを聞かせてください。
銀行口座とデビットカードというシンプルな構成で走り出したラクスルバンクは、今後順次サービスを拡大していく計画です。
その第1弾として、近日中にはクレジットカードの提供を開始したいと考えています。それもただのクレジットカードではなく、これまでにない、なおかつ「そうそう、こういうのが欲しかった!」と納得いただけるクレジットカードを開発したいと考えていますのでぜひご期待ください。
さらに、受け取り請求書の後払い機能や請求書ファクタリングサービスの提供、運転資金や設備投資といった中小企業の資金需要に対する金融支援サービスの展開など、中小企業の経営課題の解決に寄与する多様な機能を充実させていきたいと考えています。

―福岡市は開業率が高く、県内全体で見ても中小企業やスタートアップが多いのが特徴です。西日本新聞をお読みの中小企業の皆様にメッセージを。
私たちラクスルグループは、中小企業ならびにスタートアップ企業の皆様が必要とする資材や消耗品、サービスなどを〝端から端まで〞取りそろえています。ラクスルバンクをはじめ、私たちラクスルグループをまさに使い倒しながら大きく成長していただければと思います。
私たちラクスルグループが皆様を全力で支援いたします。
※「ラクスルバンク」の銀行サービスは、GMOあおぞらネット銀行からラクスルバンクが銀行代理業の委託を受け、提供しております。