映画撮影、陶磁器献上、観光客増・・・佐賀とタイ、交流活発に 「佐賀だから」挑戦する若者に広がる自信
近年、海外へのPRに力をいれている佐賀県。特にタイとの交流が活発になっている。佐賀県では、2013年からタイの映画やドラマの撮影が行なわれており、これをきっかけに、2017年から「タイフェスティバル」を7年連続で開催。県内外から多くの人が訪れ、タイ文化を楽しんだ。一方、タイでも佐賀の県産品や文化をPRするレセプションが盛大に開催されるなど、民間、行政問わず関係を深めている。交流が進んでいる背景や佐賀県が持つ強み、将来像などを2月1日~4日の期間で、タイを自ら訪問しトップセールスを行った山口祥義知事に聞いた。
7年連続でフェスティバルを開催
―佐賀県とタイはここ数年、交流が深まっています。きっかけを教えてください。
2013年、タイの映画のロケ地に佐賀県が選ばれたことを機に、交流が活発になりました。その後も国民的俳優が出演したドラマや映画の撮影が(計7作品)行われています。タイフェスティバルをコロナ禍でも、ずっと続けてきたのは佐賀県だけです。
―タイフェスティバルを7年連続で続けてこられたのはなぜでしょう。
(同様のイベントを行っていた都市も)コロナ禍で中止するところが多かったのですが、人と人との心が離れそうな時期にこそ、リアルなイベントを続けることが大切だと思いました。イベントは県民のみならず、タイ人たちにも喜んでもらえるよう意識して実施しました。その思いがタイの方々に伝わったことで、親交を深めることができたのだと思っています。
―なぜ、佐賀県はタイの映画関係者をひきつけたのでしょうか。
佐賀県には和の文化や日本の原風景が各地に残っています。それが世界の人たちには魅力的に映っているのでしょう。また、佐賀県はコンパクトで、県内各地をまわりやすいことから、まさに県全体を「映画村」のように感じてもらっているのだと思います。
タイのレセプションでトップセールスを行った山口知事
エキスポブース、連日にぎわう
こうした背景もあり、コロナ禍前は、タイから佐賀を訪れる観光客数は右上がりに増え、2013年に370人だった県内の宿泊者数は、2019年には1万人を突破。コロナ後は一時期、落ち込んだ時期もあったが22年以降は増加傾向にある。
2月にバンコクで実施されたジャパンエキスポには、佐賀県で撮影された映画ドラマを紹介するブースを出展。連日1000人以上が訪問するなど、タイにおける佐賀県の認知度は拡大している。

―今後も、タイから佐賀県を訪れる観光客は増加しそうですね。一方、現在九州佐賀国際空港から直接タイと発着する便はありません。
(国と協議している)滑走路の延長は悲願ですし、そうすれば直行便の可能性も出てくるでしょう。ただ、私たちは(現在タイと直行便が出ている)福岡と、佐賀は一体だと認識しています。だから、今後も両県がリンクした形でタイと交流していきたいと思っています。福岡とは持ち味が違いますし、観光客には周遊を楽しんでほしい。将来的には福岡in、佐賀outというプランも考えられますね。
―山口知事は2月1日~4日の日程でタイを訪問し、レセプションや関係者との面会などでプロモーションを行いました。また、その一環として、約350年の伝統を持つ鍋島焼をつくる「伊万里鍋島焼協同組合」のメンバーとともにシリントーン王女殿下と面会し、作品を献上しました。
映画撮影やタイフェスティバルもそうですし、22年にはバンコク国立博物館で開かれた「有田焼を中心とする日本のやきものとタイのやきものの展覧会」でも、佐賀の陶磁器を展示するなど、交流を続けてきました。そのようにして積み上げてきた関係性が、シリントーン王女殿下への鍋島焼の献上につながったと思うと感慨深いものがあります。タイの王族は国民から非常に崇拝愛されていて、献上自体がタイ国内でも大きなニュースになりました。喜んでもらえたのも嬉しいですし、これをきっかけにタイの交流がさらに発展していくはずです。
タイ文化省芸術局で意見交換し、今後の友好への思いを伝えた山口知事(右)
―タイは成長を続けている国。同じく佐賀県の伝統的な産業も30代前後の若い後継者たちが元気だと聞きます。共通点があるのではないでしょうか。
今回、タイを訪れたのは4年ぶりでした。長い間訪問できず残念でしたが、変わらぬ活気を感じることができて嬉しかったです。佐賀県は、焼き物同様、挑戦することが伝統になっています。これまで培ってきたものを大切にしながら、新しい価値を創ろうとしてきました。そこには成長を続けるタイと通じるものがあります。30代、40代の若手の挑戦を年長の人たちもしっかり見守っている。失敗することもあると思うけど、それを克服して次に頑張ろうという人が多いので活気が出てくるのです。
2月1日にも、若い世代がバンコク・トンロー地区で伝統工芸レセプションを開催し、盛況でした。佐賀県の若者が先進的な取組を行う際、みんな「佐賀なのに」とは言わず、「佐賀だから」と自信を持っています。この前向きな思いもいいですね。今後が楽しみです。
バンコクのトンロー地区で行われた伝統工芸レセプション。家具や陶磁器、手すき和紙を手掛ける30代の職人や経営者が佐賀の魅力をPRした
2月にバンコクで行われたレセプションで佐賀をPRする山口知事(右から2番目)