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【基調講演】九州新幹線西九州ルート整備促進シンポジウム2025 in 福岡 〜かもめ、その先へ〜 

2025/11/7 18:052025/11/7 18:05 更新)

 九州新幹線西九州ルートの整備促進について考えるシンポジウム「かもめ、その先へ」が8月29日、福岡市中央区のアクロス福岡で開かれ、約800人が参加した。西九州新幹線は、2022年9月に武雄温泉―長崎間が開業したが、新鳥栖―武雄温泉の整備方針は未定となっている。シンポは全線フル整備の気運を醸成しようと長崎県内の経済団体でつくる「九州新幹線西九州ルート整備推進協議会」が主催した。

 基調講演では、京都大学名誉教授・富山大学特別研究教授の中川大氏が「高速鉄道整備のグローバルトレンドと日本の鉄道政策」をテーマに、海外の事例を紹介しながら、新幹線を中心とした交通ネットワーク構築の重要性について語った。

 京都大学名誉教授 富山大学特別研究教授
中川 大氏
 

1981年京都大学大学院工学研究科交通土木工学専攻修了。工学博士。建設省、国土庁、東京工業大学、京都大学を経て2017年4月から富山大学副学長。2022年4月から現職。主な著書に、「整備新幹線評価論(2000)」、「Transport Policy and Funding」Elsevier(2006)など。

世界各国で進む高速鉄道の整備と国内での停滞

 2000年以降、世界各国で高速鉄道の整備が進みました。欧州では、環境問題への対応、都市間の交流活発化、公平な地域開発などを目的に加速しました。利用者からみれば、安全なモビリティの実現、生活の豊かさ、ゆとりの創出などを重視するためです。 

 一方、日本では1990年以降、整備新幹線は無駄な公共事業だと言われ続けてきました。しかし、九州、北陸両新幹線などのデータを見れば、そうではなかったことがわかります。国の財源は伸びず、諸外国と比較して地方圏への展開が遅れました。整備計画路線さえまだというのが現状です。

 国際的に比較したデータ=グラフⒶ参照=をみると、人口100万人当たりの高速鉄道(200㎞/h以上)の延長は、1992年までは日本が世界一でしたが、どんどん順位を下げ、近年は中国にも抜かれました。 中国の人口は日本の10倍以上ですから、新幹線の延長も日本の10倍以上あるということです。他の国も整備を進めており、現在日本は8位。建設中のものも含めると13位に後退する見通しです。

グラフⒶ イラストⒷ

 日本の鉄道の利用者数が、とりわけ地方においてはあまり伸びていないのは、利便性を高めてこなかったことが原因です。公共交通の利用者数の増減は、人口の増減だけが影響しているわけではありません。

 便利にしてきた地域はしっかりと伸びています。九州新幹線の西九州ルートも、利用者は伸びていますが、周辺の鉄道の利用者も伸びているという報道がありました。全体が便利になれば、利用者は伸びるのです。

「新幹線か在来線か」は過去の発想 地域交通をつなげる工夫を

 並行在来線については、30年程前から「新幹線ができたら並行在来線というお荷物を押し付けられる」という先入観が定着しています。この発想は大きく変えていただきたい。  

 例えば北陸3県の並行在来線を経営する第三セクターの「あいの風とやま鉄道」など3会社は極めて健全に運営しています。以前に比べ、運行本数は格段に伸び、新駅や新改札口も造っています。あいの風とやま鉄道は2年連続で経常収支をプラスにするなど、3社とも運営も好調です。「みんなで便利な良い鉄道に変えていこう」という努力が形になっているのです。  

 新幹線と在来線は背反するものではありません。特急が新幹線に移れば、ローカル列車はより便利にできるのです。新幹線を整備し、並行在来線、路線バスなどを含めて全体の交通ネットワークを便利にしていく。それが本来の交通・都市政策です。根幹の新幹線がいつまで経ってもできなければ、地域全体の交通・都市政策に大きなマイナスの影響を及ぼします。  

 EUでは、より効率的に便利に交通手段をつなげる「タクトダイヤ」と呼ばれる新しいダイヤの作り方が研究されています=イラストⒷ参照。新幹線ができれば在来線は不便になるという、日本だけの先入観から脱却して、新幹線ができれば在来線も含めて地域の公共交通が、より便利になっていくという発想に変わっていただきたい。  

 新幹線を中心とした交通ネットワークの構築は、日本再興のための重要な条件です。日本の鉄道技術は非常に高いです。世界標準の考え方に従って鉄道政策が行われていけば、整備が加速し、日本が再興する可能性は十分あります。  

 

▼▼シンポジウム・全編は下記の動画から▼▼

 

 

(参考記事)【パネルディスカッション・前編】九州新幹線西九州ルート整備促進シンポジウム2025 in 福岡 〜かもめ、その先へ〜

(参考記事)【【パネルディスカッション・後編】九州新幹線西九州ルート整備促進シンポジウム2025 in 福岡 〜かもめ、その先へ〜 

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